理事長挨拶

髙瀬義昌

信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。麻酔科、小児科を経て、以来、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索し、2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。 現在、在宅医療における認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。

髙瀬義昌

患者様とご家族が「自分らしく生きる」ための
在宅医療に必要なこと

検査機器などが充分に揃っていない自宅で療養生活を送ったり、最期を迎えたりすることが本当にできるのだろうか、と不安を覚える方がいます。確かに、在宅療養は、自宅に医師や看護師が常駐しているわけではありませんから、病院と同じようにはいかず、それなりの「選択と心構え」が必要です。
たとえば、認知症の場合、ご家族の接し方が困った症状の出現に大きく影響することがあります。また、お年寄りは脱水や栄養不足、薬剤などの影響を受けやすく、ささいなきっかけで入院したり、寝たきりになってしまうことがあります。
自宅での療養には、患者様もご家族もある程度の知識や理解が必要になります。

「選択と心構え」、「知識」、「理解」が必要だと言われると、在宅療養を躊躇してしまう方もいることでしょう。しかし、それが現実だからこそ、「自分らしく生きるための在宅療養」を実現するには、知識の提供を含めて、患者様とご家族を全方位から支える「しくみ」が必要だと考えています。

在宅療養で陥りがちな
悪循環

当院は2004年に開院し、これまで延べ約1,500名近い患者様の在宅療養を支えてきました。その中で切実に感じるのは、一つは、ご家族の精神的・肉体的負担への支援がおざなりになっている場合が多いことです。そのせいで療養生活にひずみが生じ、患者様に悪影響を及ぼし、ご家族への精神的・経済的な負担がさらに増してしまうという悪循環に巻き込まれていることがあります。

もう一つ、患者様に対する薬物治療が適切かどうか、主治医が全体像を把握し、適正な内容へと最適化する必要がある場合が多いことです。高齢の患者様は、複数の病気を抱え、複数の診療科にかかっていることが多いために、お薬が十数種類に及び、処方回数も1日4回になることがあります。それによる弊害を見過ごし、対応せずにいると、やはり悪循環に陥っていきます。

不適切な在宅療法により生じる悪循環

チーム医療・チームケアと家族療法で
療養生活の「困りごと」を全方位から支援、解決へ

このような悪い流れに陥らないように、あるいは悪い流れを断ち切るために必要なことは大きく二つあると考え、実践しています。
一つは、患者様とご家族の視点に立ち、日常のささいな出来事を見逃さず、適切に対処することができるチーム医療・チームケアの体制です。
もう一つは、内科や精神科など、複数の診療科を総合的に診療する「家庭医学」を基本とし、療養生活の要となるご家族の心身のケアを含めた「家族療法」です。
これらを実践することで、それぞれ事情の異なる患者様とご家族に合わせて療養生活を全体最適化し、状況に合わせて変幻自在に組み換えることで、ムリ・ムダ・ムラのない支援を実践しています。
当院には、認知症の患者様も数多くいらっしゃいます。
一人で抱え込まずに、まずは困っていることを私たちと共有しましょう。

たかせクリニックが実践する在宅療法支援

髙瀬理事長経歴

履歴事項

昭和59年3月 信州大学医学部卒業
平成16年8月 たかせクリニック開設
平成19年3月 医療法人社団 至髙会 設立
平成20年4月 東京医科大学社会人大学院入学
平成24年9月 東京医科大学社会人大学院修了

免許資格

昭和59年 医師免許取得
昭和62年 麻酔科標榜医取得
平成 4年 日本小児科学会認定医取得
平成13年 介護支援専門員取得
平成14年 日本プライマリケア学会認定医取得
平成20年 認知症サポート医取得
平成24年 日本慢性期医療協会
在宅医療認定医取得
平成24年 医学博士取得

役職

厚生労働省 高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ 構成員
東京都医師会 地域包括ケア委員会 委員
東京都地域ケア会議推進部会 委員
一般社団法人 蒲田医師会 理事
公益財団法人 日米医学医療交流財団 理事
一般財団法人 ITヘルスケア学会 副代表
一般社団法人 みんなの認知症情報学会 理事
一般社団法人 日本老年薬学会 評議員
特定非営利活動法人 オレンジアクト 理事長
公益財団法人 杉浦記念財団 理事
日本薬科大学 客員教授
昭和大学客員教授

著書

『はじめての認知症介護』(佼成出版社刊)
『介護のための医学知識ハンドブック』(ナツメ社刊)
『認知症の治療とケア』(じほう刊)
『高齢者ケアのための“くすり”の知識』(日本看護協会出版会刊)
『医療を変えるのは誰か?-複雑系で解く21世紀の医療』(はる書房刊)
『ぜんそくなんかふきとばせ!』『おねしょまじんをやっつけろ!』(佼成出版社刊)
『ブレイブのぜんそくってなんだろう』(つくば総合研究所刊)
外来全科『痛み治療マニュアル 第2刷』((株)三輪書店)
『OSCEトレガイド-医学生・研修医のための臨床技能ワークブック』(医学評論社)
第93回再現看護師国家試験問題解説書『レプリカ’05』(医学評論社)
『現代のエスプリ 在宅医療』(至文堂)
月刊「コミュニティケア」(日本看護協会出版)
『自宅で安らかな最期を迎える方法』WAVE出版
【動画】在宅医療専門医に聞く「攻めのポリファーマシー対策」(第一三共エスファ)

これまでの活動・研究実績、論文

  • 髙瀬義昌、笹田美和、榊原幹夫、五十嵐中、亀井浩行、小山恵子:地域包括ケアにおける医薬品適正使用に関する研究 ー高齢者において処方薬の削減によりQOLが上昇した事例ー 老年精神医学雑誌 第25巻第12号(2014.12)
  • 髙瀬義昌、大石修司、根本健司、中村博幸、市来真彦、片山成仁、英 裕雄、五十嵐中:在宅医療現場に潜在する閉塞性換気障害患者の検出に関する検討 東京医科大学雑誌第70巻第2号 別刷
  • 平成24年度厚生労働省補助事業老人保健健康増進等事業 介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する調査研究 ケアマネジメントQOL研究会 委員
  • 平成25年度厚生労働省チーム医療・在宅医療推進のための看護業務の安全性等検証事業 診療の補助における特定行為に係る医師の指示に基づくプロトコール試行事業検討委員会 委員会刊